2016/06/27

抗がん剤と髪の毛と写真

ふと、昔、乳がんの方を撮影したことを思い出した。


都内にある小さなスタジオでカメラマンをしていた時のお話。

どこにでもあるような小さな写真スタジオで、
アイドル、声優、女優さんの宣伝材料や、お見合い写真、
活動用のプロフィール写真を撮っていた。


撮影前に、お客さんに何用の写真かを必ず確認していて、
大抵、予約時にそれを聞いて、朝の申し送りで確認するのですが、
プロフィール写真なんだけど、一人用途がわからない人がいるので、
ヒヤリングをしっかりしてほしいと言われた

大抵プロフィール写真だと、講演会講師の写真が多いのですが、
なんか電話の感じがなんか違うらしい。

ヘアメイク付きのコースなので、ヘアメイクさんにヒヤリングをしてもらって
伝えてもらうことになった。

当日カメラマンが三人いて、何故か私のところにヘアメイクさんと店長が…
で、ヘアメイクさんが聞いたのが、そのお客さんが乳がんであるということだった。

乳がんで、抗がん剤をするため、髪が抜けてしまう、
胸まで伸ばした髪をきる前に写真を残しておきたかった。

とのこと。
他にもカメラマンはいるけど、男性だしデリケートな話だから
指名じゃないけど女性カメラマンを押したい、いけるか?って言われて、
なんか妙な使命感が沸いて、あぁ、これ私が撮らないといけない
撮ろう。私がって思って、カメラをとった。

その方はとても若くて、私より何個か上かな?くらいなので
20代後半くらいだったと思う。
とても明るい笑顔で、爽やかな、とてもきれいな人だった。

乳がんのことも彼女から私に話してくれた、
今思えば、ちょっと空元気というか、無理に気丈夫ふるまおうとしているみたいな感じだった。

野外での撮影コースだったので、女性ヘアメイクと女三人で
いろんなポーズでこんなのは?こんなのいいじゃん!って撮影した。

彼女は写真撮れてよかったって撮影のあとも笑顔だった。

今、その彼女は元気だろうか…ふと、思い出した。

0 件のコメント :

コメントを投稿